Signal Processing Toolbox    

スペクトル推定法の概要

Signal Processing Toolbox の中で利用可能なスペクトル推定の種々の方法は、つぎのように分類できます。

ノンパラメトリック法 は、信号自身から直接、PSD の推定が可能なものです。最も簡単な方法は、ピリオドグラム と言われるものです。ピリオドグラムの改良版が、Welch 法 [8] です。より近代的なノンパラメトリック手法は、multitaper 法 (MTM) です。

パラメトリック法 は、推定した信号の PSD は、線形システムに白色雑音を入力した結果の出力と仮定しています。例題としては、Yule-Walker 自己回帰 (AR)Burg 法 です。これらの方法は、信号を仮想的に発生させ、線形システムのパラメータ(係数)を先ず、推定することで、PSD を推定します。これらは、利用する信号の長さが、比較的短い場合、古典的なノンパラメトリック手法より、良い結果を出力する傾向を示します。

部分空間法 は、高解像法、または、超解像法 として知られ、相関行列の固有解析、または、固有分解をベースに信号に対する周波数成分の推定を行います。例題としては、multiple signal classification (MUSIC)、または、eigenvector (EV) です。これらの方法は、ラインスペクトル、すなわち、正弦波のスペクトルや、雑音の混じった正弦波の検出に最適です。特に、S/N比が低い場合には、有効です。

これら3つのカテゴリで分けた方法を下の表に記述し、対応するツールボックス関数名と共に表示します。各手法の名前の下の数字は、より詳細な説明が記述されているページを示します。lpc と他のパラメトリックな推定関数に関する詳細は、パラメトリックモデリング を参照してください。

手法
詳細
関数
ピリオドグラム
(3-9)
パワースペクトル密度推定
periodogram
Welch
(3-19)
オーバラップ付き、ウインドウを適用された信号部分の平均ピリオドグラム
pwelch, csd, tfe, cohere
Multitaper
(3-23)
マルチ直交型ウインドウ(または、"tapers")の組み合わせから行うスペクトル推定
pmtm
Yule-Walker AR
(3-31)
自己相関関数から、時系列の自己回帰 (AR) スペクトル推定
pyulear
Burg
(3-32)
線形予測誤差を最小化することに算出する時系列の自己回帰(AR)スペクトル推定
pburg
共分散法
(3-35)
前置予測誤差を最小化することに算出する時系列の自己回帰(AR)スペクトル推定
pcov
修正共分散法
(3-35)
前置/後退予測誤差を最小化することに算出する時系列の自己回帰(AR)スペクトル推定
pmcov
MUSIC
(3-35)
多重信号分類(Multiple signal classification)
pmusic
固有ベクトル
(3-35)
擬似スペクトル推定
peig


 スペクトル解析 ノンパラメトリック法