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set

LTIモデルのプロパティの設定または修正

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set は、LTIモデルのプロパティを設定したり、修正したりするのに使用します(LTIプロパティについては、マニュアルの"LTIプロパティ"を参照してください)。そのHandle Graphics と同様、setは、プロパティ名/値の組み合わせを使ってプロパティ値を更新します。

set(sys,'Property',Value) は、値Valueを文字列'Property'で設定したLTIモデルsysのプロパティに割り当てます。この文字列は、プロパティのフルネーム(たとえば'UserData')とすることも、あるいは大文字と小文字を区別しないあいまいな略語(たとえば'user')でも構いません。固有のプロパティは、モデルタイプと整合性がなければなりません。たとえば、sysが伝達関数の場合、Variableは正しいプロパティですが、StateNameは正しくありません(詳細については、マニュアルの"モデル固有のプロパティ"を参照してください)。

set(sys,'Property1',Value1,'Property2',Value2,...) は、1つのステートメントで複数のプロパティ値を設定します。プロパティ名/値の各組み合わせは、1つの特定のプロパティを更新します。

set(sys,'Property') は、'Property'で設定したプロパティに対して、設定可能な値を表示します。有効なLTIプロパティ値の概要については、下記の"プロパティ値"を参照してください。

set(sys) は、sysの割り当て可能なすべてのプロパティとそれらの設定可能な値を表示します。

例題

つぎのように作成したSISO状態空間モデルを考えます。

つぎのコマンドによって、0.1秒の入力の遅れを追加し、入力にtorqueという名前を付け、行列をゼロにリセットし、そのDCゲインを'Userdata'プロパティに保存します。

setには、出力引数がまったく必要でないことに注意してください。get で結果をチェックします。

プロパティ値

つぎの表に、各LTIプロパティの設定可能な値を示します。は、基になっているLTIモデルの入力数と出力数を表し、K次元のLTI配列の対して、は配列の次元を定義します。

表 1-15 : LTIプロパティ
プロパティ名
設定可能なプロパティ値
Ts
  • 連続システムの場合、0(ゼロ)
  • 離散システムの場合、秒単位のサンプル時間
  • サンプル時間が未設定の離散系システムの場合、-1または[]

注意:  サンプル時間プロパティをリセットしても、モデルデータには影響しません。離散系/連続系、および離散系/離散系変換の場合には、c2dd2cd2dを使用します。

ioDelay
入力/出力の遅れをつぎのように定義します。
  • 連続時間モデルに対して、非負の実数
  • 離散時間モデルに対しては、整数(サンプル周期)
  • すべてのI/Oの組み合わせをすべて同じ遅れで設定するスカラ
  • 各I/Oの組に対して、個々に独立した時間遅れを設定する列の行列
  • あるLTI配列の個々のモデルに対して、異なるI/O遅れを設定する- - -. . .-のサイズの配列
InputDelay
入力の遅れをつぎのように定義します。
  • 連続時間モデルに対して、非負の実数
  • 離散時間モデルに対しては、整数(サンプル周期)
  • またはシステムが一様な入力遅れをもつ場合、スカラ
  • 各入力チャンネルに対して、独立に遅れ時間を設定する要素から構成される長さのベクトル
  • あるLTI配列の個々のモデルに対して、異なる入力遅れを設定する- - -. . .-のサイズの配列
OutputDelay
出力の遅れをつぎのように定義します。
  • 連続時間モデルに対して、非負の実数
  • 離散時間モデルに対しては、整数(サンプル周期)
  • またはシステムが一様な出力遅れをもつ場合、スカラ
  • 各入力チャンネルに対して、独立に遅れ時間を設定する要素から構成される長さのベクトル
  • あるLTI配列の個々のモデルに対して、異なる出力遅れを設定する- - -. . .-のサイズの配列
Notes
文字列、文字列配列、または文字列のセル配列
UserData
任意の MATLAB 変数
InputName
  • 単入力システム用の文字列。例:'thrust'
  • (入力と同数のセルをもつ)多入力システムに対する文字列のセルベクトル。例:2入力システムに対する{'u';'w'}
  • 入力と同数の行数をもつ埋められた文字列の配列。
    • ['rudder ' ; 'aileron']
      
OutputName
InputNameと同じ(Input(入力)Output(出力)で置き換える)
InputGroup

セル配列"グループ入力とグループ出力"を参照

OutputGroup
InputGroupと同じ

表 1-16 : 状態空間モデルプロパティ
プロパティ名
設定可能なプロパティ値
StateName
InputName と同じ(Input(入力)をState(状態)で置き換える)
a, b, c, d, e
状態数、入力数、出力数に対して整合性のある次元をもつ実数値状態空間行列(LTI配列の場合、多次元配列)4-18ページの"SSモデルに対するLTI配列データのサイズ"を参照してください。
Nx
  • 各モデルの状態数に等しい状態をもつ単一LTIモデルまたはLTI配列に対する状態数を表わすスカラ整数
  • あるLTI配列モデルのすべてが、同じ状態数をもたない場合、--次元の配列

表 1-17:TFモデルプロパティ
プロパティ名
設定可能なプロパティ値
num, den
  • SISOの場合、分子多項式または分母多項式の係数に対する実数値行ベクトル。デフォルトでは、変数または降べきの順に配置される係数、Variableプロパテが、'q'または'z^-1'の場合、昇ベキの順に配置されます。
  • MIMOの場合、実数値行ベクトルの列のセル配列。たとえば、  2出力/1入力伝達関数では、{[1 2];[1 0 3]}です。
  • MIMO LTI配列に対して、-----次元の実数値セル配列
Variable
  • 連続時間システムでは、文字列's' (デフォルト)または'p'
  • 離散時間システムでは、文字列'z'(デフォルト)または'q''z^-1'

表 1-18:ZPKモデルプロパティ
プロパティ名
設定可能なプロパティ値

z, p

  • SISOの場合、零点と極のベクトル(実数値または共役複素数)
  • MIMOの場合、ベクトルの列のセル配列(実数値または共役複素数)。たとえば、 2入力1出力のモデルでは、z = {[],[-1 0]}です。
  • MIMO LTI配列の場合、-----次元の実数値セル配列
Variable
  • 連続時間システムでは、文字列's'(デフォルト)または'p'
  • 離散時間システムでは、文字列'z'(デフォルト)または'q''z^-1'

表1-19:FRDモデルプロパティ
プロパティ名
設定可能なプロパティ値
Frequency
が周波数の数の場合、長さ の実数値ベクトル
Response
  • 単LTIモデルに対して、複素数データの--次元の配列
  • LTI配列に対して、-by-----次元の配列
Units
文字列'rad/s'(デフォルト)、または、'Hz'

注意事項

離散系伝達関数の場合、分子と分母を表現するために使用する記法は、変数の選択によって変わります(詳細については、下記のtfの項を参照してください)。tfと同様、set は変数の選択と矛盾しないように記法を切り替えます。たとえば、Variableプロパティを'z'に設定(デフォルト)すると、

は、つぎの伝達関数を作成します。

ただし、Variableプロパティをつぎのように'z^-1'(または'q')に変更すると

同じコマンド

は、行ベクトル[1 2]および[1 3 4]を多項式および と解釈して、

を作成します。結果として得られる伝達関数が異なるため、必ず変数の選択と矛盾しない記法を使用するようにしてください。

参考
get         LTIモデルプロパティへのアクセスと抽出

frd         周波数応答データモデルの設定

ss          状態空間モデルの設定

tf          伝達関数の設定

zpk         零点-極-ゲインモデルの設定


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