Control System Toolbox関数リファレンス    
norm

LTIモデルのノルム

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norm は、連続系または離散系LTIモデルのまたはノルムを計算します。

H2 ノルム

伝達関数をもつ安定した連続系システムのノルムは、そのImpulse応答の二乗平均の平方根で、つぎの式と等価です。

このノルムは、単位白色入力に対する出力応答の定常状態共分散(またはベキ乗)になります。

無限大ノルム

無限大ノルムは、周波数応答のピークゲインです。すなわち、

ここで、 は、行列の最大特異値を意味します。

離散系における周波数応答のピークゲインは、つぎのとおりです。

使用方法

norm(sys) 、または、 norm(sys,2)は、TF、SS、ZPKモデルsysノルムを出力します。このノルムは、つぎの場合、無限大になります。

norm(sys)は、

と同じ結果を生じることに注意してください。norm(sys,inf) は、任意のタイプのLTIモデルsysの無限大ノルムを計算します。このノルムは、sysが連続系で虚軸上、または、離散系で単位円上に極をもつ場合、無限大となります。

norm(sys,inf,tol) は、計算した無限大ノルム上で希望する相対精度を設定します(デフォルト値は、tol=1e-2です)。

[ninf,fpeak] = norm(sys,inf) は、ゲインがそのピーク値に達する周波数fpeakも出力します。

例題

つぎのパルス伝達関数を考えます。

この関数のサンプル時間は0.1秒です。そのノルムを、つぎのように計算します。

MATLABは、つぎの出力を行います。

また、その無限大ノルムを計算します。

MATLABは、つぎの出力を行います。

以上の値をのBode線図により確認します。

ゲインは、実際、約3ラジアン/秒でピークに達し、dB単位のそのピーク値は、つぎのようになります。

MATLABは、つぎの出力を行います。

アルゴリズム

normは、ノルムに対しては、covarと同じアルゴリズムを使用し、無限大ノルムに対しては、[1]のアルゴリズムを使用します。sysは、まず状態空間型に変換されます。

参考
bode        Bode線図

freqresp    周波数応答計算

sigma       特異値プロット

参考文献

[1] Bruisma, N.A. and M. Steinbuch, "A Fast アルゴリズム to Compute the -Norm of a Transfer Function Matrix," System Control Letters, 14 (1990), pp. 287-293.


 nichols nyquist