Real-Time Workshop User's Guide    

ビルドプロセスのステップ

モデルの解析

ビルドプロセスは、Simulinkブロック線図の解析から始まります。解析プロセスは、以下のタスクで構成されます。

このフェーズの間に、Real-Time Workshopは、モデルファイル(model.mdl) を読み込み、モデルの中間の表現をコンパイルします。この中間状態の記述は、言語に依存しない形式で、model.rtwというASCIIファイルに格納されます。model.rtwファイルは、ビルドプロセスのつぎの段階への入力情報です。

model.rtwファイルは、Simulinkモデル(.mdl) ファイルの形式と同じです。「model.rtw ファイルの概要」には、 .rtw ファイルの基本的な特徴が説明されています。model.rtw ファイルの内容に関する詳細は、Target Language Compiler Reference Guideを参照してください。

Target Language Compilerによるコード生成

ビルドプロセスの第二段階では、Target Language Compilerがmodel.rtwファイルに格納されたモデルの中間記述をターゲット固有のコードに変換します。

Target Language Compilerは、モデルの記述をコードに変換する目的のためのみに設計されたインタプリタ型プログラミング言語です。Target Language Compilerは、複数のターゲットファイルtarget files (.tlcファイル)からなるTLCプログラムを実行します。TLCプログラムは、model.rtw ファイルを入力として使って、モデルからのコードの生成方法を指定します。

TLCプログラムは、以下のもので構成されます。

Target Language Compilerは、model.rtwファイルを読み込みことから開始します。その後ターゲットファイル内(最初にシステムターゲットファイル、そのつぎに個々のブロックターゲットファイル)のコマンドを実行します。Target Language Compilerの出力は、Simulinkブロック線図のソースコードです。

カスタマイズされたMakefileの生成

ビルドプロセスの第三段階は、カスタマイズされたmakefile, model.mkを生成することです。生成されたmakefileは、makeユーティリティに、要求されるハーネスプログラム、ライブラリ、ユーザ定義のモジュールと同様にモデルから生成されたコードをコンパイルおよびリンクするように指示します。

Real-Time Workshopは、システムテンプレートmakefilesystem.tmfからmodel.mkを作成します。システムテンプレートmakefileは、ユーザのターゲット環境に対して設計されます。テンプレートmakefileを使って、実行ファイルの作成中に用いられるコンパイラ、コンパイラのオプション、その他の情報を指定できます。

model.mkファイルは、system.tmfの内容をコピーし、ユーザのモデルの設定を記述するトークンを付け加えて作成されます。

Real-Time Workshopは、固有のターゲット環境および開発システム用に設定された多くのシステムテンプレートmakefilesを提供します。System Target File Browserには、Real-Time Workshopにバンドルされているすべてのテンプレートmakefileの一覧があります。

既存のテンプレートmakefileを変更したり、ユーザ独自のテンプレートmakefileを与えることによって、ビルドプロセスをカスタマイズすることができます。

実行ファイルの作成

実行プログラムの作成は、ビルドプロセスの最終段階です。この段階は、図 2-5に示されているようにオプションです。

組み込みマイクロコントローラやDSPボードのようなシステムをターゲットとする場合、ソースコードのみを生成することを選択できます。その後コードをクロスコンパイルし、ターゲットハードウェアにダウンロードできます。第3章の「実行ファイルの作成」 では、ビルドによって実行ファイルを作成するかどうかを制御するオプションを説明します。

実行ファイルの作成は、可能ならば、model.mkファイルが作成された後で行います。このとき、ビルドプロセスは、コンパイラを起動するmakeユーティリティを呼び出します。不必要なCファイルのリコンパイルを防ぐために、makeユーティリティは、オブジェクトとCファイルの間の依存性について日付チェックを行います。期限切れのソースファイルのみがコンパイルされます。

オプションで、makeは実行ファイルをターゲットハードウェアにダウンロードすることができます。

図 2-5: 自動プログラムビルドの制御フロー

ビルドプロセスで作成されるファイルのまとめ

model.* ファイルは、Real-Time Workshopにおいて特定の機能があります。

model.rtwファイルの概要

この節では、model.rtwファイルの基本的な機能を調べます。 .rtwファイルは、以下のようなソースモデルから生成されます。

このモデルは、example.mdlいうファイルに保存されます。Real-Time WorkshopはASCIIファイルexample.rtwを生成します。example.rtwファイルは、レコードで構成される階層構造に格納された、パラメータ名とパラメータ値で構成されます。

以下に示すのは、example.rtwの抜粋です。

 .rtwファイルの詳細については、Target Language Compiler Reference Guideを参照してください。model.rtwファイルの内容の詳しい説明が含まれています。


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