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セーブしたフィルタのパラメータにアクセス

SPToolで作成されたMATLAB 構造体は、いくつかの関連したフィールドをもっています。これらのフィールドの多くのものは、MATLABの構造体でもあります。MATLAB 構造体に関する詳細については、MATLAB ドキュメントを参照してください。

たとえば、フィルタfilt1をMATLABのワークスペースに転送した後、つぎのように入力します。

これにより、フィルタに対して、MATLAB構造体のフィールドを表示します。フィルタ用のMATLAB構造体のtfFsspecs フィールドは、フィルタを記述する情報を含んでいます。

tf フィールド:フィルタ係数にアクセス

tf フィールドは、フィルタの伝達関数表現を含む構造体です。このフィールドを使って、フィルタ係数を得ることができます。

これらの構造体を含むベクトルは、zの降ベキの順の多項式を表します。分子多項式と分母多項式を使って、伝達関数を設定します。

ここで、

関数tf2sstf2zpを使って、デフォルトの伝達関数型から他の型にフィルタ表現を変更できます。

Fs フィールド:フィルタのサンプル周波数にアクセス

Fs フィールドは、フィルタのサンプリング周波数をヘルツ単位で含んでいます。

specs フィールド:他のフィルタパラメータにアクセス

specs フィールドは、フィルタ設計用に設定したパラメータを含んだ構造体です。最初のフィールド、specs.currentModuleは、ユーザがフィルタを転送する前にフィルタデザイナのアルゴリズム(Algorithm)リストから選択した最新の設計法を表す文字列を含んだものです。currentModuleフィールドの内容や対応する設計法を、つぎに示します。

表 6-1: フィルタ仕様 currentModule フィールド値
currentModule フィールドの内容field
設計法
fdbutter
Butterworth IIR
fdcheby1
Chebyshev I 型IIR
fdcheby2
Chebyshev II 型 IIR
fdellip
楕円 IIR
fdfirls
最小二乗 FIR
fdkaiser
Kaiser ウィンドウ FIR
fdremez
等リップル FIR

specs.currentModuleフィールドに続いて、7つまで追加フィールドを加えることができます。たとえば、specs.fdremezspecs.fdfirls等のフィールドです。最新の転送されたフィルタの設計仕様は、文字列currentModuleと一致するフィールドラベルに含まれます。たとえば、specs構造体が、つぎの場合

となります。フィルタの仕様は、fdremezフィールドに含まれて、それ自身、データ構造体です。

仕様は、帯域エッジやフィルタ次数のようなフィルタデザイナ(Filter Designer)の仕様(Specifications)領域からのパラメータを含んでいます。たとえば、上のフィルタは、filt1.specs.fdremezの中にストアされたつぎの仕様をもっています。

あるフィルタパラメータは、設計法によりユニークなので、この構造体は、各フィルタ設計用に種々のフィールドをもっています。

つぎの表は、フィルタ用に転送される構造体に表れるフィルタ設計仕様のフィールド( specフィールド)に関連して使用可能なフィールドを記述します。

表 6-2: フィルタ用の SPTool 構造体の内容
パラメータ
詳細
Beta
Kaiser ウインドウパラメータ
f
正規化された帯域エッジ周波数ベクトルで、1Hzがサンプリング周波数の半分に対応します。
Fpass
通過帯域のカットオフ周波数。ローパスとハイパスの場合スカラで、バンドパス、バンドストップの場合ベクトルです。
Fstop
遮断帯域カットオフ周波数。ローパスとハイパスの場合スカラで、バンドパス、バンドストップの場合ベクトルです。
m
fの中の帯域エッジ周波数に対応する大きさの応答
order
フィルタ次数
Rp
通過帯域のリップル (dB)
Rs
遮断帯域の減衰 (dB)
setOrderFlag
フィルタ次数をマニュアルで設定する場合1(すなわち、仕様(Specifications)領域の最小次数(Minimum Order)ボックスがチェックされていません)。フィルタ次数が自動的に計算される場合0です。
type
ローパスの場合1、ハイパスの場合2、バンドパスの場合3、バンドストップの場合4
w3db
Butterworth IIR 設計での-3 dBの周波数
wind
Kaiser ウインドウ係数ベクトル
Wn
setOrderFlag = 1の場合、KaiserウインドウFIRフィルタ用のカットオフ周波数
wt
重みベクトルで、周波数帯域に一つの重み


 大きさの応答プロットを使って、フィルタの再設計 セーブしたスペクトルのパラメータにアクセス