Real-Time Workshop User's Guide    

始めましょう

この節では、簡単な例題によって、Simulinkモデルをスタンドアロン実行ファイルプログラムに変換する方法を説明します。このプログラムは、Simulinkと独立に実行され、開発ホストまたは別のターゲットコンピュータ上での高速に実行することができます。

SimulinkモデルからAdaコードを生成することは、Cコードを生成するのと非常に似ています。つぎのようにMATLABプロンプトでタイプして始めます。

つぎのブロック線図が表示されます。

図 16-1: サブシステムがオープンされたカウンタのデモ

Adaコード生成に対するオプションの設定

このモデルに対してAdaコードを生成する前に、正確なオプションを指定する必要があります。オプションは、以下のステップで指定します。

  1. シミュレーション(Simulation)メニューからシミュレーションパラメータ(Parameters)を選択します。これは、Simulation Parametersダイアログボックスをオープンします。
  2. ソルバ(Solver)ページで、ソルバオプション(Solver options)Fixed-step discrete (no continuous states))を設定します。
  3. Real-Time Workshop pageページを選択します。Categoryメニューで、Target configurationを選択します。
  4. Click the Browseボタンをクリックします。これは、System Target File Browserをオープンします。
  5. Ada Simulation Target for GNATを選択して、OKをクリックします。これは、Adaコード生成に対して、正しいSystem target file, Template makefile, Make commandフィールドを自動的に設定します。

    図 16-2にAdaコード生成に対して正しく選択されたSystem Target File Browserを示します。

図 16-2: System Target File Browser

あるいは、つぎのステップに従って、Real-Time Workshopの設定をマニュアルで指定することもできます。

  1. ツール(Tools)メニューのReal-Time Workshopサブメニューのオプション(Options) を選択します。これは、Simulation ParametersダイアログボックスのReal-Time Workshopページをオープンします。
  2. Categoryメニューで、ターゲット設定(Target configuration)を選択します。
  3. rt_ada_sim.tlcシステムターゲットファイル(System target file)に指定します。
  4. gnat_sim.tmfテンプレートMakeファイル(Template makefile)に指定します。
  5. make_rtw -adaMakeコマンド(Make command)に指定します。

図 16-3は、正しい設定のReal-Time Workshopページを示します。

図 16-3: Real-Time Workshopページでのターゲット設定

さらに、makeコマンドを使って、コンパイラスイッチをコードコンパイルフェーズに渡すことができます。たとえば、デバッグシンボルを使ってコンパイルしたい場合は、Makeコマンドフィールドの-adaスイッチの後に-g を追加します(各スイッチの間にはスペースがなければなりません)。このスイッチは、モデルベースに適用されます。より継続的な変更については、「テンプレートMakeファイルの設定」を参照してください。

Adaコードの生成

Adaコードを生成し、Ada実行ファイルをビルドするには、Real-Time Workshopページをオープンします。Categoryメニューで、ターゲット設定(Target configuration)を選択します。ビルド(Build)ボタンをクリックします。

あるいは、ツール(Tools)メニューのReal-Time Workshopサブメニューのモデルの作成(Build Model )を選択します。

生成されるファイル

Real-Time Workshop Ada Coderは、ビルドプロセス中に2つのディレクトリに出力ファイルを作成します。

つぎの表は、カウンタのデモ(countersdemo)においてReal-Time Workshop Ada Coderによって生成されるAdaファイルの一覧です。

表 16-1: Real-Time Workshop Ada Coderによって生成されるAdaファイル
ファイル名
説明
countersdemo.adb
モデルの実現方式の詳細であるパッケージの本体
countersdemo.ads
モデルの呼び出し可能な手順、およびモデル外部入力および出力を定義するパッケージの仕様
countersdemo_types.ads
モデルが利用するデータタイプのパッケージの仕様。Real-Time Ada Coderは、ブロック名と信号の幅からデータタイプを得ます。
register.ads
モデルレートの情報を定義し、countersdemo.adsのプログラムのエントリポイント名を変更するパッケージの仕様
register2.ads
循環するコンパイルの依存性を削除するために必要なregister.adsのサブセットを含むパッケージの仕様
rt_engine-rto_data.ads
リアルタイムオブジェクトにまとめられているモデルを実行するためのタイミング情報を含むパッケージの仕様


 制限 S-ファンクションを使ったモデル化