Control System Toolbox関数リファレンス    

d2c

離散系LTIモデルを連続系に変換

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d2cは、つぎの変換方式の1つを使って、LTIモデルを離散系から連続系に変換します。

'zoh'
ゼロ次ホールド。制御入力は、サンプリング周期Tsの間では区分的に一定とします。
'tustin'
双一次(Tustin)近似
'prewarp'
周波数プリワーピングをもつTustin近似
'matched'
参考文献[1]のMatched pole-zero法(SISOシステムのみ)。

文字列methodは、変換方式を設定します。methodを省略するとゼロ次ホールド('zoh')と見なされます。変換方式の詳細については、マニュアルの3章および参考文献[1]を参照してください。

例題

つぎの伝達関数

およびサンプル時間秒をもつ離散系モデルを考えます。つぎのようにして、連続系ZOH等価モデルを導きます。

ゼロ次ホールド法(デフォルト法)を使って求めた連続モデルHcをサンプリング周波数を使って離散化すると、オリジナルの離散モデルに戻ります。つぎのように入力してください。

ゼロ次ホールドの代わりにTustin近似を使うには、つぎのように入力します。

ゼロ次ホールドのときと同じように、逆変換

で、オリジナルのに戻ります。

アルゴリズム

'zoh'変換は、状態空間型で実行され、行列対数(Using MATLABlogmを参照)を使います。

制限

Tustin近似は、で極をもつシステムに対しては定義されず、近傍で極をもつシステムに対しては、条件数は悪くなります。

ゼロ次ホールド法は、で極をもつシステムを取り扱うことはできません。また、'zoh'変換は、負の実数の極をもつシステムに対してモデル次数を増加します[2]。これは、行列対数が負の実数の極を複素極に射影するために必要です。 で単一極をもつ離散モデルは、に、単一複素極をもつ連続モデルに変換することができます。そのようなモデルは、その複素時間応答のため無意味になります。

連続モデルのすべての複素極が、共役対をもつように、d2cは、負の実極で近傍の複素共役極の対を置き換えます。そして、変換は、より高次の連続系モデルを生成します。たとえば、つぎの伝達関数

とサンプル時間0.1秒の離散系モデルは、つぎのようにして変換されます。

MATLABは、つぎの出力を行います。

Hcを離散系に逆変換すると、つぎの結果が得られます。

は、つぎの出力を行います。

この離散モデルは、で極/零点の組み合わせをキャンセルした後のと一致します。

参考
c2d         連続系から離散系への変換

d2d         離散モデルのリサンプリング

logm        行列の対数計算

参考文献

[1] Franklin, G.F., J.D. Powell, and M.L. Workman, Digital Control of Dynamic Systems, Second Edition, Addison-Wesley, 1990.

[2] Kollár, I., G.F. Franklin, and R. Pintelon, "On the Equivalence of z-domain and s-domain Models in System Identification," Proceedings of the IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference, Brussels, Belgium, June, 1996, Vol. 1, pp. 14-19.


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