モデルの作成と取り扱い    

LTIプロパティの付加的な意味

この節を読むことにより、例題を通して、Ts, InputName, OutputName, InputGroup, OutputGroupLTIプロパティについて、より深く学ぶことができます。NotesUserdataに関する基本的な情報については、"基本的なプロパティ"を参照してください。InputDelay, OutputDelay, ioDelayの使い方の情報については、"むだ時間"を参照してください。

サンプル時間

サンプル時間プロパティTsは、離散時間LTIモデルまたは離散化した連続時間LTIモデルに対して、サンプル周期を設定するために使われます。つぎのシステム

を0.5秒のサンプル周期をもつ離散時間伝達関数と考えます。つぎのように入力します。

Tsプロパティを0.5に設定し、その確認を行います。

連続時間モデルに対して、サンプル時間プロパティTsは、便宜上0に設定します。たとえば、つぎのようにタイプします。

離散時間のLTIモデルのサンプル時間を未設定のままにするには、Tsに設定します。たとえば、

は、つぎの結果を生みます。

同じ結果を、Variableプロパティを使うことによっても得られます。

いくつかの離散時間モデルを組み合わせる演算では、設定するサンプル時間はすべて同じものでなければなりません。結果のモデルのサンプル時間は、すべてのオペランドが、未設定のサンプル時間の場合、未設定になります。Tsに関するこの継承ルールでは、つぎの二つのモデルは等価です。

は、エラーメッセージを出力します。

離散時間システムのサンプル時間を変更したり、リサンプリングするには、d2dを使います。

入力名と出力名

InputNameプロパティとOutputNameプロパティ(略して、I/O名)を使って、LTIモデルの入力チャンネルと出力チャンネルのすべてまたはある部分に名前を設定することができます。

たとえば、入力thrust、出力velocity、伝達関数をもつSISOモデルを、つぎのようにして作成することができます。

また、直接、つぎのプロパティを設定することもできます。

つぎの結果を得ます。

入力名、出力名、変数選択に依り、表示がどのように変化するかに注意してください。

MIMOの場合、入力チャンネル名または出力チャンネル名を設定する文字列のセルベクトルを使います。たとえば、つぎのようにタイプします。

設定した入力名は、 Hの表示の中に表れます。

未定義の名前のままにするのは、つぎのように空の文字列''を使います。

入力グループと出力グループ

多くのアプリケーションで、入力または出力チャンネルの複数のグループを作成し、それらに名前を付ける場合があります。たとえば、入力のあるグループにnoise、残りのものにcontrolsを付ける場合などです。

これを行うには、入力または出力グループ(I/Oグループ)が、どのように機能するかを見ましょう。

  1. 1つの状態、3入力、3出力をもつランダムな状態空間モデルを作成します。
  2. 最初の2つの入力にcontrols、最初の出力にtemperature、最後の2つの出力にmeasurementsと名前を付けます。

これを行うには、つぎのようにタイプします。

そして、MATLABは、つぎの型の状態空間モデルを出力します。

I/Oグループリストの中央の列は、グループが入力グループ(I)か出力グループ(O)のどちらかを示すものです。

一般に、M入力グループ(または出力グループ)を設定すると、つぎのような型のM行2列のセル配列を必要とします。

図 1-2:2列セル配列

入力(または出力)グループに対するセル配列を設定するときは、つぎのことを注意してください。

たとえば、

は、disturbance と呼ばれる他の入力グループをhに付加します。

I/Oグループ要素にアクセスしたり、変更したりするには、通常のセル配列構文を使うことができます。たとえば、最初の出力グループtemperatureを削除するには、つぎのようにタイプします。

同様に、既に存在している入力グループまたは出力グループにチャンネルを付加したり、削除したりできます。入力グループチャンネルが対応するセル配列の最初の列にストアされていることを思い出してください。そして、チャンネル3を入力グループcontrolsに付加するには、つぎのようにタイプします。

または、つぎのコマンドも等価です。


 プロパティの直接参照 モデルの変換