Programming with MATLAB    

演算子と関数の多重定義

多くの場合、引数がオブジェクトのケースに対して、MATLAB演算子や関数の挙動 を変更したい場合があります。これは、基準になる関数を多重定義することによ り可能になります。多重定義は、入力引数の種々のタイプ、種々の入力数を取り 扱う機能をもたせ、最も高い優先順位をもつものに対しても演算を適切に行うこ とができます。オブジェクトの優先順位に関する情報は、"オブジェクトの優先順位"を参照してください。

演算子の多重定義

各々の組み込みMATLAB演算子は、関連した関数名(たとえば、+演算子が、関連した関数plus.m)をもっています。ユーザは、クラスディレクトリの中で適切な名前をもつM-ファイルを作成することにより、任意の演算を多重定義することができます。たとえば、pまたはqのどちらかがタイプclass_nameのオブジェクトならば、つぎの式

は、関数@class_name/plus.mが存在しているなら、それを読み込みます。pとq が、共に異なるクラスのオブジェクトの場合、MATLABは、優先順位則を適用して、 使用するメソッドを決定します。

多重定義演算子の例題

多重定義演算子の例題に対しては、つぎの節を参照してください。

　

つぎのテーブルは、MATLABのほとんどの演算子に関する関数名の一覧です。

演算
 M-ファイル
 詳細
a + b
 plus(a,b)
 バイナリ加算
a - b
 minus(a,b)
 バイナリ減算
-a
 uminus(a)
 単項マイナス
+a
 uplus(a)
 単項プラス
a.*b
 times(a,b)
 要素単位の乗算
a*b
 mtimes(a,b)
 行列乗算
a./b
 rdivide(a,b)
 要素単位の右除算
a.\b
 ldivide(a,b)
 要素単位の左除算
a/b
 mrdivide(a,b)
 行列の右除算
a\b
 mldivide(a,b)
 行列の左除算
a.^b
 power(a,b)
 要素単位のベキ乗
a^b
 mpower(a,b)
 行列のベキ乗
a < b
 lt(a,b)
 より小さい
a > b
 gt(a,b)
 より大きい
a <= b
 le(a,b)
 より小さいか等しい
a >= b
 ge(a,b)
 より大きいか等しい
a ~= b
 ne(a,b)
 等しくない
a == b
 eq(a,b)
 等しい
a & b
 and(a,b)
 論理和
a | b
 or(a,b)
 論理積
~a
 not(a)
 論理偽
a:d:b
a:b
 colon(a,d,b)
colon(a,b)
 コロン演算子
a'
 ctranspose(a)
 複素共役転置
a.'
 transpose(a)
 行列転置
command window output
 display(a)
 表示メソッド
[a b]
 horzcat(a,b,...)
 水平連結
[a; b]
 vertcat(a,b,...)
 垂直連結
a(s1,s2,...sn)
 subsref(a,s)
 サブスクリプトを使った参照
a(s1,...,sn) = b
 subsasgn(a,s,b)
 サブスクリプトを使った代入
b(a)
 subsindex(a)
 サブスクリプトを使ったインデックス


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