R12 Release Notes    

開発環境の機能

この節は、以下について説明します。

MATLABデスクトップ

MATLABは、MATLABに関連するファイル、変数、アプリケーションの管理用のツール(グラフィカルユーザインタフェース)を含むMATLABデスクトップと呼ばれる新環境を提供します。デスクトップは、MATLABのダッシュボードとして考えられます。最初にMATLABを起動したとき、Launch Padが異なるエントリを含んでいるかもしれませんが、デスクトップは以下の図のように表示されます。ツールをオープン、クローズ、移動することによって、デスクトップの外観を変更することができます。

コマンドラインインタフェースをお使いになりたい場合は、関数を使ってMATLABデスクトップツールのほとんどの機能を実行することが可能です。

以下のツールは、MATLABデスクトップで管理されますが、すべてが最初の起動時にデフォルトで表示されるわけではありません。

ツール
目的
主な新機能
コマンドウィンドウ
MATLAB関数を実行。
  • 選択の実行、選択を開く、選択のヘルプの表示を行うコンテキストメニュー
  • 関数名に対するタブによる補完
  • シンタックスの強調
コマンド履歴
コマンドウィンドウに入力した関数のログの表示、それらのコピーと実行。
新ツール
Launch Pad
ツールを簡単に実行し、すべてのMathWorksプロダクトのドキュメントにアクセスします。リストを展開すると、そのプロダクトに対するドキュメント、デモ、ツールを表示します。
新ツール
ヘルプブラウザ
新オンラインヘルプに記述されているように、MATLABのすべてのプロダクトファミリに対するドキュメントを表示、サーチします。
ヘルプデスクに代わる新規ユーザインタフェース
カレントディレクトリブラウザ
MATLABファイルと関連ファイルを表示します。ファイルのオープンのようなファイル操作を実行したり、ファイル内の文字列を検索、置換することができます。
新ツール
ワークスペースブラウザ
ワークスペースの内容の表示および変更
  • インポートウィザードとのインタフェース
  • コンテキストメニューを使って変数に対するデータをグラフ化
配列エディタ
表形式で配列の内容を表示し、値を編集
  • 変数に対する表示形式を変更
  • 文字列と文字列からなるセル配列も可
エディタ/デバッガ
M-ファイル(MATLAB関数を含むファイル)の作成、編集、デバッグ
  • 行番号の表示
  • 選択肢(複数行)のコメント化と非コメント化
  • シンタックスの強調に利用する色を変更
  • 指定した文節について複数ファイルを一度に検索
  • セッションを起動し、以前のセッションのシャットダウン時にオープンされたファイルをオープンするためのMATLABオプション
  • エディットモードでデータティップスを表示するオプション
  • ブレークポイントは、ファイルの保存時に保持されます

これらの新機能のうちのいくつが動作するかを知るためには、デスクトップのヘルプメニューのデモを選択します。プレイバックデモがシステムのWebブラウザで実行され、新規インタフェースおよびツールの主な機能を説明します。プレイバックデモは、UNIX上よりもWindowsで高速に実行されます。

figureウィンドウ、ツールボックスのグラフィカルユーザインタフェース、以下の開発環境ツールのようなその他のMATLABツールは、デスクトップによって管理されません。

ツール
目的
主な新機能
パスの設定ダイアログボックス
MATLABサーチパスの表示と変更
Path Browserユーザインタフェースの修正バージョン
インポートウィザード
MATLABワークスペースにバイナリデータまたはテキストデータをロード。
MATLAB import関数のグラフィカルユーザインタフェース。詳細は、インポートウィザードを参照。
M-File Profiler
M-ファイルがどこで時間を消費しているかを測定し、速度の向上に役立ちます。
スクリプトをサポートします。
ソースコントロールインタフェース
MATLAB, Simulink, Stateflow内部からユーザのソースコントロールシステムにアクセスします。
新ツール
Notebook
ワードプロセッシング環境(Microsoft Word)内からMATLABの数値計算および可視化ソフトウェアにアクセスします。
Word 2000をサポートします。

新オンラインヘルプ

Release 12は、HTML形式でほとんど全てのオンラインドキュメントを提供します(プロダクトのオンラインドキュメントの中には、PDF形式のみのものもわずかにあります)。オンラインドキュメントは、少なくともプロダクトの出荷時には最新であり、より新しい場合もあります。

新ヘルプブラウザ Release 12は、ヘルプブラウザをもち、MicrosoftのHTML HelpやSunのJava Helpインタフェースで行うのと同様にオンラインドキュメントにアクセスすることができます。しかし、ヘルプブラウザは、MATLABプロダクトファミリ全体について効率的に機能するようにカスタマイズされています。(タブによる)アクセス法は、以下の通りです。

その他の機能には、お気に入り(ブックマーク)の保存やテキストの強調によるオンラインドキュメント内での例題コードの実行、右クリックコンテキストメニューがあります。

ドキュメントのPDFバージョンにアクセスすることによって、ドキュメントのコピーをプリントアウトすることができます。Windowsプラットフォームについては、PDFファイルはDocumentation CDにあります。

詳しい説明は、MATLABドキュメントのGetting Helpを参照してください。

コンテキストセンシティブなヘルプ プロダクトの中には、ヘルプメニュー、ヘルプボタン、右クリックコンテキストメニューによってコンテキストセンシティブなヘルプにアクセスできるものがあります。

ツールボックスパスのキャッシュは、MATLABの起動時間を短縮します。

ネットワークサーバからMATLABを起動する場合は、新規のツールボックスパスのキャッシュ機能を利用することにより、起動時間を大幅に短縮することができます。ツールボックスパスのキャッシュは、MATLABのルートディレクトリ下のすべてのツールボックスディレクトリに関するパス情報を格納します。MATLABは起動時にこの情報をリモートファイルシステムから読み込むのではなく、キャッシュから取得します。

ツールボックスパスのキャッシュは、MATLABセッションの開始時にのみ利用されます。多くのツールボックスディレクトリをMATLABパスに含めるように定義する場合に特に役立ちます。すべての情報を取得するには、リモートファイルシステムのディレクトリをスキャンすることにより、比較的時間がかかります。しかし、あらかじめ作成されたキャッシュから読み込むと、かなり速くなります。ツールボックスのパスが短い場合は、キャッシュを利用する利点はあまりありませんが、時間の節約にはなります。

最初にMATLABをインストールするときに、ツールボックスパスのキャッシュはシステム管理者によって作成され、必要とされるシステム上で利用可能でなければなりません。MATLAB 設定ダイアログボックスには、キャッシュの作成や利用の手助けとなる新規のToolboxキャッシュパネルがあります。

詳細は、MATLABドキュメントの"開発環境"のツールボックスパスのキャッシュを利用した起動時間の短縮を参照してください。

インポートウィザード

ASCIIテキストデータあるいはバイナリデータをワークスペースにインポートする最も簡単な方法は、新規のMATLABインポートウィザードを使うことです。インポートウィザードを利用するには、つぎの手順に従います。

  1. MATLABコマンドウィンドウのファイルメニューのデータのインポートオプションを選択してインポートウィザードを起動します。インポートウィザードは、ファイル選択ダイアログボックスを表示します。インポートしたいデータを含むファイルを指定します。
  2. インポートウィザードは、ファイルをオープンし、ファイル内のデータを処理し、ファイル内のデータから作成した変数のプレビューを表示します。ファイルが複数の変数を含む場合は、インポートしたい変数を選択することができます。完了をクリックしてワークスペースにデータをインポートします。

インポートウィザードは、イメージ、サウンドファイル、スプレッドシートのような多くのデータタイプフォーマットを自動的に処理することができます。インポートウィザードは、カンマ、スペース、タブ、セミコロンをデリミタとして利用するテキストデータファイルも処理可能です(コロン-セパレータとしても呼ばれるデリミタは、テキストデータファイル内で個々のデータ要素を区切るキャラクタです)。インポートウィザードは、ファイル内で利用されているデリミタを指定する場合は、他のテキストファイルを処理することができます。

つぎの表は、インポートウィザードを利用してインポート可能なデータのタイプの一覧です。

データタイプ
ファイルの拡張子
ASCIIテキストデータ
.txt, .dat, .dlm, その他
Audio Video Interleaved (AVI) フォーマット
.avi
CompuServe Graphics Interchange フォーマット
.gif
Cursor フォーマット
.cur
HDF ラスタイメージ
.hdf
アイコン
.ico
JPEG
.jpg, .jpeg
MATLAB MAT-ファイル
.mat
Portable Network Graphics
.png
サウンドファイル
.wav, .au, .snd
スプレッドシート
.csv, .xls, .wk1
Zsoft Paintbrush
.pcx

開発環境関数

本節では、新規および機能強化された開発環境関数の一覧を示します。

新規の開発環境関数 下記の表の関数は、MATLAB 6.0の新規関数です。

関数
詳細
checkin
MATLAB, Simulink, Stateflowからソースコントロールシステムにファイルをチェックイン
checkout
MATLAB, Simulink, Stateflowにソースコントロールシステムからファイルをチェックアウト
cmopts
MATLABで利用されるソースコントロールシステム名を取得
customverctrl
MATLABでサポートしないバージョンコントロールシステムを統合
filebrowser
カレントディレクトリ内のファイルの表示、およびファイル操作のためのツール、カレントディレクトリブラウザを表示
helpbrowser
オンラインヘルプへのアクセスを行うMATLABヘルプブラウザを表示
undocheckout
ソースコントロールシステムからのチェックアウトをアンドゥ

開発環境関数の変更点 以下の表の関数は、MATLAB 5.2(Release 11)以降変更されています。

関数
変更点
dbstop
関数dbstop if errorは、try...catchブロック内で検出されたエラーについて実行を停止しません。MATLABは、これらの状況ではデバッグモードに入りません。

実行を停止し、try...catchで検出されたものを含むすべてのタイプのエラーについてデバッグモードに入るには、関数dbstop if all errorを使います。

doc
ヘルプデスクの代わりにヘルプブラウザにドキュメントを表示します。関数に対するHTMLリファレンスページが存在しない場合は、ヘルプブラウザにM-ファイルヘルプを表示します。
docopt
以下の場合にのみ使用されます。
  • -browserオプションがUNIXプラットフォームに対して利用されている場合は関数web
  • IBMおよびHPプラットフォーム - Release Notes のプラットフォームの制限を参照
helpdesk
ヘルプデスクではなくヘルプブラウザを表示します。将来のリリースでは、関数helpdeskは、廃止される予定です。
helpwin
関数の一覧と説明は、特殊化されたウィンドウの代わりにヘルプブラウザに表示されます。
pathtool
パスブラウザの代わりに新規のパスの設定ダイアログボックスをオープンします。
version
MATLABで利用するJavaのバージョンを表示する-javaフラグをもちます。
web
デフォルトでは、ヘルプブラウザに指定したURLを表示します。システムのデフォルトのWebブラウザに指定したURLを表示する-browserフラグをもちます。

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MATLAB 6.0 Release Notes 数学関数