Using Simulink

データタイプの機能

用語”データタイプ” は、コンピュータがどのような方法でメモリ上の数を表現するかを言及します。データタイプは、数に割り当てられるストレージの量を決定し、2進数の型として数値を符号化するために利用される理論体系を決定し、型を操作するために有効な演算を決定します。ほとんどのコンピュータは、数を表現するためのデータタイプを選択することができ、精度とダイナミックレンジ、性能、メモリ使用量の面で明確な利点を持っています。MATLABプログラムの性能を最適化するためのデータタイプの利点を有効にするために、MATLABではMATLAB変数のデータタイプを指定することができます。Simulinkは、Simulink信号とブロックパラメータのデータタイプを指定することができ、上記の能力を持っています。

モデルの信号とブロックパラメータのデータタイプを指定することは、特に実時間制御アプリケーションに有効です。たとえば、Simulinkモデルは、The MathWorks社が提供しているReal-Time Workshopのような自動コード生成ツールを利用してモデルから生成されたコードにおいて、信号やブロックパラメータを表現するために利用する最適なデータタイプを指定することができます。モデルの信号とパラメータに対して最も適切なデータタイプを選択することによって、性能を劇的に向上させ、モデルから生成されるコードのサイズを小さくすることができます。

Simulinkは、シミュレーションの実行前や実行中に、モデルがタイプセーフ である、つまり、モデルから生成されたコードがオーバーフローやアンダーフローせず正確な結果を出力することを補償するための検査を広範囲にわたって実行します。Simulinkのデフォルトのデータタイプ (double) を利用しているSimulinkモデルは、本質的にタイプセーフです。従って、モデルからコード生成をしたり、デフォルト以外のデータタイプを利用する予定がない場合、この節の残りは読み飛ばして構いません。

一方、モデルからコードを生成したり、デフォルト以外のデータタイプを利用するつもりであれば、この節の残り、特にデータタイプの法則に関する節("データタイプの法則"を参照してください)を注意深く読んでください。これにより、データタイプエラーによってモデルの完成までの実行やシミュレーションができなくなることを避けることができます。

注釈

Simulinkでサポートされるデータタイプ