Real-Time Workshop User's Guide | ![]() ![]() |
制御システムに対するラピッドプロトタイピング
制御システムに対するラピッドプロトタイピングは、1つの例外を除いてディジタル信号処理と同じです。制御システム設計では、閉ループ性能をシミュレーションするためにアルゴリズム開発の前にプラントのモデルを開発する必要があります。十分な精度をもつプラントモデルが開発されれば、制御システム設計のラピッドプロトタイピングプロセスは、ディジタル信号処理設計と同様の方法で続けて行います。
ラピッドプロトタイピングは、予備のシステム設計とシミュレーションに対して、十分に忠実なブロック線図のプラントモデルの開発から始めます、シミュレーションが希望するシステム性能に達すると、コントローラのブロック線図は、プラントモデルから分割され、I/Oデバイスドライバが接続されます。自動コード生成を使うことで、システム全体がリアルタイム実行コードにすぐに変換されます。実行コードは、ターゲットハードウェアに自動的にロードされ、リアルタイム制御システムの実現を非常に短い時間で行うことができます。
Simulinkでのシステムのモデリング
設計プロセスの第一のステップは、プラントモデルの開発です。Simulinkの提供する線形要素と非線形要素を使って、プラント、センサ、アクチュエータのダイナミクスを含むモデルを構築することができます。Simulinkはカスタマイズ可能なので、連続時間要素および離散時間要素からカスタムブロックとブロックライブラリを作成することで、さらにモデリングを単純化することができます。
System Identification Toolboxを使うことにより、実験に基づいたプラントモデルを開発するためにテストデータを解析したり、Symbolic Math Toolboxを使ってプラントダイナミクスの式を状態変数の型に変換することもできます。
シミュレーション結果の解析
ラピッドプロトタイピングの第一のステップで開発したモデルから出力された結果を、MATLABとSimulinkを使った解析することができます。この段階でプラントにコントローラを設計したり追加できます。
アルゴリズムの設計と解析
モデリングの段階で開発したブロック線図から、線形化手法による状態空間モデルを抽出できます。これらの行列は、制御システム設計で使うことが可能です。つぎのツールボックスを使って、制御システム設計を簡単にしたり、導き出された行列を使うことができます。
コントローラを設計すると、Simulinkプラントモデルに接続して閉ループシステムを作成することができます。閉ループシミュレーションを使うことにより、初期設計が制御性能をどの程度満足するかを決定することができます。
性能を満足するモデルを設計した後で、Simulinkブロック線図からCコードを直接生成し、ターゲットプロセッサ用にコンパイルし、与えられたまたはユーザが記述したアプリケーションモジュールとのリンクを簡単に行えます。
externalモードを使った結果の解析とパラメータチューニングおよび信号のモニタリング
プログラムの出力データをMATLABにロードして、サードパーティのモニタリングツールを使って解析または表示することができます。Simulinkモデルの設計変更を行い、その後でCコードの再生成が簡単に行えます。
Simulinkのexternalモードを使って、信号処理アルゴリズムをターゲットハードウェア上でリアルタイムで実行中にパラメータを対話的に変更することができます。実行コードを生成し、ハードウェアにダウンロードした後で、Simulinkでブロックパラメータをチューニングします。Simulinkは、新しい値をハードウェアに自動的にダウンロードします。Scopeブロックを観察したい信号と接続するだけで、パラメータの変更の影響をモニタリングすることができます。
![]() | ディジタル信号処理に対するラピッドプロトタイピング | Real-Time Workshopのオープンアーキテクチャ | ![]() |