Real-Time Workshop User's Guide    

チュートリアル1: 一般的リアルタイムプログラムのビルド

このチュートリアルでは、デモモデルからCコードを作成し、実行ファイルをビルドするプロセスの演習を行います。結果のスタンドアロンプログラムは、外部のタイミングやイベントとは独立にワークステーション上で実行されます。

作業ディレクトリとビルドディレクトリ

ユーザディレクトリ f14exampleに、f14モデルをローカルコピーして作業すると便利です。ここでは、f14exampleディレクトリがドライブd:にあると仮定しています。作業ディレクトリをつぎのように設定します。

  1. 以下のようにMATLABコマンドラインでタイプしてディレクトリを作成します。

    または

  1. f14example を作業ディレクトリにします。
  2. f14 モデルをオープンします。

    モデルがSimulinkウィンドウに表示されます。

  1. 「ファイル」メニューから、「名前を付けて保存」を選択します。 f14モデルのコピーを d:/f14example/f14rtw.mdlとして保存します。

コード生成中には、Real-Time Workshopは作業ディレクトリ内にビルドディレクトリ を作成します。ビルドディレクトリ名は、ソースモデル名と選択されたターゲットから得られたmodel_target_rtwです。ビルドディレクトリは、生成したソースコードや、ビルドプロセス中に作成したその他のファイルを格納します。このチュートリアルの最後には、ビルドディレクトリとその内容を調べます。

プログラムパラメータの設定

f14rtw モデルから正確にコードを生成するためには、シミュレーションパラメータのうちのいくつかを変更する必要があります。特に、Real-Time Workshopは固定ステップソルバを使う必要があることに注意してください。パラメータを設定するには、つぎのように「シミュレーションパラメータ」 ダイアログボックスを利用します。

  1. 「シミュレーション」 メニューから、「シミュレーションパラメータ」を選択します。シミュレーションパラメータ ダイアログボックスがオープンします。
  2. 「ソルバ」タブをクリックし、「ソルバ」ページにつぎのパラメータ値を入力します。

    Start Time: 0.0

    Stop Time: 60

    Solver options:TypeFixed-stepに設定します。ode5 (Dormand-Prince)ソルバアルゴリズムを選択します。

    Fixed step size: 0.05

    Mode: Single Tasking

  1. Applyをクリックします。それから、OK をクリックしてダイアログボックスをクローズします。
  2. モデルを保存します。シミュレーションパラメータは、次回のセッション用にモデルと共に保存されます。

図 1-2 は、ソルバページの正しいパラメータ設定を示しています。

図 1-2: シミュレーションパラメータダイアログボックスのソルバページ

ターゲット構成の選択

希望するターゲット構成を指定するために、システムターゲットファイル、テンプレートmakefile、make コマンドを選択します。

このチュートリアルでは、これらのパラメータを個々に指定する必要はありません。その代わりに、既存の一般的リアルタイム(GRT) ターゲットコンフィグレーションを使います。GRTターゲットは、ワークステーション上で動作するスタンドアロン実行ファイルをビルドするように設計されています。

GRTターゲットを選択するには、

  1. 「シミュレーション」 メニューから 「シミュレーションパラメータ」を選択します。シミュレーションパラメータダイアログボックスがオープンします。
  2. シミュレーションパラメータダイアログボックスのReal-Time Workshop タブをクリックします。Real-Time Workshopページがアクティブになります。
  3. Real-Time Workshopページは、Categoryプルダウンメニューから選択するサブページをもっています。CategoryプルダウンメニューからTarget configurationを選択します。

図 1-3: Real-Time Workshop ページ (Target Configuration Category)

  1. 「System target file」フィールドの横の「Browse」ボタンをクリックします。System Target File Browserがオープンします。ブラウザは、現在利用可能なすべてのターゲット構成の一覧を表示します。ターゲット構成を選択すると、Real-Time Workshopは自動的に適切なシステムターゲットファイル、テンプレートmakefile、make コマンドを選択します。

図 1-4: The System Target File ブラウザ

  1. 利用可能な構成の一覧から、 (図 1-4のように) Generic Real-Time Targetを選択した後でOKをクリックします。
  2. Real-Time Workshopページは、図 1-3のように、正しいシステムターゲットファイル(grt.tlc), テンプレートmakefile (grt_default_tmf), makeコマンドを(make_rtw)を表示します。
  3. CategoryプルダウンメニューからGeneral code generation options を選択します。表示されるオプションは、すべてのターゲット構成に対して共通です。すべてのオプションが下記のようにデフォルトに設定されていることを確認してください。

  4. CategoryプルダウンメニューからGRT code generation options を選択します。表示されたオプションは、GRTターゲット固有のものです。すべてのオプションが下図のようにデフォルトで設定されていることを確認してください。

  5. Category プルダウンメニューからTLC debugging を選択します。このカテゴリのすべてのオプションが選択されていないことを確認してください。
  6. CategoryメニューからTarget configurationを選択します。Generate code only オプションが選択されていないことを確認してください。
  7. モデルを保存します。

プログラムのビルドと実行

Real-Time Workshopのビルドプロセスは、モデルからCコードを生成し、生成したプログラムをコンパイルおよびリンクします。プログラムをビルドし、実行するには、

  1. 「シミュレーションパラメータ」 ダイアログボックスの 「ビルド」ボタンをクリックすると、ビルドプロセスを開始します。
  2. MATLABコマンドウィンドウにコード生成とコンパイルに関するメッセージが表示されます。最初のメッセージは、以下の通りです。

    続くメッセージの内容は、コンパイラおよびオペレーティングシステムにより異なります。最後のメッセージは、

  1. 作業ディレクトリには、実行ファイルf14rtw.exe (PC)またはf14rtw(UNIX)が作成されます。さらに、ビルドディレクトリ f14rtw_grt_rtwが作成されています

    ビルド後に作業ディレクトリの内容を見るためには、MATLABコマンドウィンドウでdir コマンドをタイプします。

  1. MATLABコマンドウィンドウから実行ファイルを実行するには、つぎのようにタイプします。

    キャラクタ "!" は、その後のコマンドをオペレーティングシステムに渡します。そしてここではスタンドアロンプログラムf14rtwを実行します。

    プログラムは、つぎの1行を出力します。

  1. 最後に、ビルドディレクトリの内容を見るために、つぎのようにタイプします。

ビルドディレクトリの内容

ビルドプロセスは、ビルドディレクトリを作成し、ソースモデルと選択したターゲットの名前をつなげたmodel_target_rtwという名前にします。この例題では、ビルドディレクトリは f14rtw_grt_rtwという名前です。

f14rtw_grt_rtwには、つぎの生成されたソースコードファイルが含まれます。

ビルドディレクトリには、オブジェクト (.obj) ファイルや生成されたmakefile (f14rtw.mk)のような、ビルドプロセスにおいて用いられるその他のファイルも含まれます。


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