モデルの作成と取り扱い    

離散時間モデルの中での遅れの設定

離散時間LTIモデルに遅れを設定するには、ioDelayInputDelayOutputDelayプロパティを使います。離散時間モデルでの遅れは、サンプル周期の整数倍として設定します。離散時間モデルに対してのむだ時間で設定する整数kは、k個のサンプル周期の遅れを意味しています。このような遅れは、伝達関数に対して、ファクタとして表わします。

たとえば、

は、離散時間伝達関数を作成します。

ファクタz^(-3)は、入力に3サンプル周期の遅れを意味しています。

離散時間遅れを原点での極に射影

離散時間遅れは、での付加的な極と等価なので、伝達関数の分母または状態空間方程式に簡単に取り込めます。たとえば、遅れをもつ積分器の伝達関数

は、

です。これは、入力に2サンプル周期の遅れをもった1次の伝達関数として設定するか、

直接3次の伝達関数として設定できます。

これら2つのモデルは、数学的に等価ですが、H1はストレージの項で考えても、後の計算を考えても、より効果的な表現です。

必要なときには、コマンドdelay2zを使って、すべての離散時間遅れを原点での極に射影することができます。たとえば、

は、3次の伝達関数を作成するためにH1の遅れを伝達関数の分母の項に吸収させます。

そして、

は、0を出力することに注意してください。


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