モデルの作成と取り扱い    

入力または出力上に遅れを設定

I/Oに遅れをもつ周波数領域モデルに対しては理想的なものですが、ioDelayプロパティは、状態空間モデルの中に遅れをもつ入力または出力を捕らえることは不適切です。たとえば、2つのモデル

は、同じ伝達関数をもちます。

結果として、ioDelayプロパティを使って、これらを区別することはできません(共に、0.1秒のI/O遅れをもちます)。これら二つのモデルは、

によって関係付けられているので、異なる状態の軌跡をもっています。0.1秒の遅れは、最初のモデルでは入力にあり、2番目のモデルでは出力にあります。

InputDelayプロパティとOutputDelayプロパティ

状態の軌跡が興味の対象の場合、InputDelay プロパティとOutputDelay プロパティを使って、状態空間モデル内の入力に関する遅れと出力に関する遅れとの間の区別をすることができます。たとえば、前の2つのモデルを正確に設定します。

MIMOの場合、ベクトル値をInputDelay (OutputDelay)プロパティに割り当てることで、各入力(または、出力)チャンネルに対して、異なる遅れを設定することができます。たとえば、

は、2入力2出力モデルを作ります。

TF、ZPK、FRDのいずれかのモデルの中で、入力の遅れまたは出力の遅れを設定するのに、InputDelayプロパティとOutputDelayプロパティを使います。たとえば、伝達関数を作成します。

つぎのように入力します。

表示される結果のモデルは、つぎのようになります。

比較のため、ioDelayプロパティを使って等価な伝達関数を作成するため、つぎのように入力します。

0.1秒の遅れは、I/O遅れ行列の中で2回使われていることに注意してください。より一般的に、入力遅れで、出力遅れをもつTF、ZPK、FRDモデルに対して、等価なI/O遅れ行列は、つぎのようになります。


 入力/出力遅れの設定 離散時間モデルの中での遅れの設定