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コレスキ因子分解

コレスキ因子分解は、対称行列を三角行列とその転置行列との積として表現します。

ここで、Rは、上三角行列です。

対称行列すべてが、この方法で分解できることはありません。すなわち、因子分解による行列は正定行列です。これは、Aの対角要素は正で、非対角要素は"あまり大きくない"ものです。Pascal行列は、興味のある例題です。この章を通して、例題の行列Aは、3行3列のPascal行列です。ちょっと、一時的ですが、6行6列の行列を考えましょう。

Aの要素は、二項係数になります。各々の要素は、その上と左の要素の和になります。コレスキ因子分解は、つぎのようになります。

要素は、再び、二項係数になっています。R'*RAに等しいことは、二項係数の積の和を含んでいることを示すものです。

コレスキ因子分解は、複素数行列にも適用できます。コレスキ因子分解を行なった複素数行列はA' = Aを満足し、Hermitian positive definiteと言われます。

線形システム

は、

で置き換えることで、コレスキ因子分解を行なうことができます。バックスラッシュ演算子は、三角システムで使えるので、つぎのようにして簡単に解くことができます。

Aが、nn列の行列の場合、chol(A)の計算の誤差はO(n3)になりますが、連続バックスラッシュによる解の誤差は、たったO(n2)です。


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