Signal Processing Toolbox Release Notes |
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第 1 章
Signal Processing Toolbox 6.0 Release Notes
新機能
本節では、Signal Processing Toolboxで導入された新機能および強化された機能をまとめます。
Release 12.1 よりも以前のリリースからアップグレードする場合は、Upgrading from an Earlier Releaseを参照してください。
本節は、つぎのように構成されています。
Digital Filterオブジェクト
Signal Processing Toolbox 6.0 は、オブジェクトを用いて、離散時間フィルタの作成、表示、修正の新しい方法を追加しています。新規の離散時間フィルタオブジェクトdfilt
を使って、コンストラクタを呼び出して特定のタイプのフィルタオブジェクトを作成したり、get
を使ってフィルタプロパティを表示したり、set
を使ったフィルタプロパティの変更のような、オブジェクト指向プログラミングを利用することができます。この新規オブジェクトに関する詳細は、dfilt
リファレンスページを参照してください。
係数のベクトル[b,a]
の代わりにdfilt
オブジェクトを利用することの利点は、以下の通りです。
- フィルタの構造体は、オブジェクトの一部です。
- 関数
filter
は、伝達関数型に変換せずに任意の構造体で実行可能です。
- フィルタは、2つのベクトルの代わりに単一のオブジェクトに含まれます。これにより、フィルタを他の関数またはGUIに渡すことが簡略化されます。
freqz
, grpdelay
, impz
, phasez
, stepz
, zplane
は、オーバロードメソッドです。If you pass a dfilt
をこれらのいずれかに渡すか、あるいは出力を指定しない場合は、フィルタ応答はFilter Visualization Tool (fvtool)
に表示されます。ここで、は他のフィルタ解析にアクセスすることが可能です。フィルタ係数をこれらに渡す場合は、図はデフォルトのfigureウィンドウに表示されます。
- フィルタの特性は、それらのプロパティのうちの1つあるいは複数を変更することによって、迅速かつ簡単に変更することができます。
- MATLABワークスペースブラウザの
dfilt
オブジェクトをダブルクリックして、Property Inspectorを表示することができます。
dfilt
を強調し、MATLABワークスペースブラウザで右クリックして、Filter Visualization Toolを起動することができます。
Window Design and Analysis Tool
新規のWindow Design and Analysis Tool (wintool
)は、スペクトルウィンドウを設計し比較するための簡単な方法を提供するGUIです。Signal Toolboxが提供するすべてのウィンドウは、wintool
で利用可能です。wintool
はMATLABコマンドラインから起動します。詳細はwintool
リファレンスページを参照してください。
Window Visualization Tool
ウィンドウの表示のための新規ツールwvtool
が追加されています。
Windowオブジェクト
オブジェクトを利用してウィンドウを作成、表示、修正するための新しい方法が追加されています。新規windowオブジェクトsigwin
は、オブジェクト指向プログラミングを利用します。オブジェクトの利用の利点については、上記のDigital Filterオブジェクトを参照してください。この新規オブジェクトに関する詳細は、sigwin
リファレンスページを参照してください。
関数window
入力を指定せずに関数window
を利用すると、Window Design and Analysis Tool (wintool
)を起動します。
新規ウィンドウ
2つの新規ウィンドウ関数が追加されています。
parzenwin
は、Parzenウィンドウを計算します。この窓関数は、de la Vallé-Poussinウィンドウとして知られています。
flattopwin
は、Flat topウィンドウを計算します。
Gaussianフィルタ関数
新規関数firgauss
は、FIR Gaussianディジタルフィルタを設計します。
新規解析関数
3つの新規解析関数が追加されています。
phasedelay
- フィルタの位相遅れ応答を計算
phasez
- 位相のディジタル位相応答を計算
zerophase
- フィルタのゼロ位相応答を計算(従来は、この関数は異なるシンタックスを使い、Filter Design Toolbox内にありました)。
GRPDELAYの改良
関数grpdelay
は、単位円に非常に近い極/零点をもつIIRフィルタに対してより正確なるように修正されています。この改良は、FDAToolおよびFVToolでのGroup Delay プロットにも反映されています。
STEPZ関数
オーバロードdfilt
メソッドとしても利用可能なstepz
は、MATLABコマンドラインから利用可能です。従来は、fdatool
でのみ利用可能でした。
DIGITREVORDER関数
新規関数digitrevorder
を使って、フィルタ係数のベクトルをpre-orderすることができます。
FDAToolの機能強化
- 新規のパネルコントロールボタンは、パネルをDesign FilterからImport Filterに変更するために、(sidebarの)左下に追加されています。Filter Design Toolboxがインストールされている場合は、Set Quantization Parameters and Transform Filterコントロールボタンも含まれます。 DSP Blocksetがインストールされている場合は、Simulinkモデル内にsubsystem filterブロックを作成するために、Realize Modelコントロールボタンが追加されています。
- Design panelにおいて追加のフィルタ設計オプションを指定することができます。これらのオプションは、従来はコマンドラインからのみ利用可能でした。
- フル表示解析ツールバーボタンまたは解析->フル表示解析によって起動されるFilter Visualization Tool (
fvtool
)は、FDAToolと同期を取るように、リンクすることができます。詳細は、下記のFVToolの機能強化を参照してください。
- つぎのメニューアイテムは、追加または更新されています。
- ファイル->エクスポートは、フィルタ係数のベクトルまたは
dfilt
フィルタオブジェクトをワークスぺース、テキストファイル、またはMAT-ファイルにエクスポートします。
- ファイル->Export to SPToolは、カレントフィルタをSPToolにエクスポートします。
- 編集->Undoは、1度に1回のアクションをアンドゥします。Undoは、フィルタの設計またはインポートをアンドゥします。
- 編集->Redoは、最後のアクションを繰り返します。
- 編集->Convert Structureは、元となるフィルタ構造体を変換するだめのダイアログボックスを起動します。このダイアログボックスは、Current Filter Informationフレームの(右クリックによる)コンテキストメニューからも利用できます。
- 編集->Convert to Second Order Sectionsは、フィルタをSecond Order Sectionsに変換するために、ダイアログボックスを起動します。このダイアログボックスは、現在のフィルタ情報フレームの(右クリックによる)コンテキストメニューからも利用できます(このダイアログボックスのフィールドは、従来はConvert Structureダイアログボックスの一部でした)。
- 編集->Convert to Single Section は、2次型フィルタを1次型に変換します。このオプションは、現在のフィルタ情報フレームの(右クリックによる)コンテキストメニューからも利用可能です。
- 解析->Analysis Parametersは、フィルタ応答に対する解析固有のパラメータを設定します。これは、コンテキストメニューからもアクセス可能です。優先されるAnalysis ParametersをAnalysis ParametersダイアログボックスのSave as Default をクリックすることで保存できます。
- 解析->Sampling Frequencyは、カレントフィルタに対するサンプリング周波数を設定します。
- Filterメニューは、削除されています。このメニューに従来存在していたすべての項目は、Editメニューのサイドバーからアクセス可能です。
- 右クリックによりアクセスするコンテキストメニューは、単位の設定、表示の変更、サンプリング周波数の設定、応答プロットとラベルのAnalysis Parametersへのアクセスに対して含まれます。
- 極/零点プロットは、複数の極/零点が1点で発生する場合に、極/零点の数を表示することができます。
- 新規フィルタ設計法--Maximally flat--が追加されています。その他の新規メソッドも、Filter Design Toolboxに追加されています。
- ゼロ位相解析を実行するには、Magnitudeプロットのy-軸ラベルを右クリックしてコンテキストメニューを表示し、Zero-Phaseを選択するか、あるいはAnalysis ParametersダイアログボックスからZero-Phaseを選択します。対応する位相プロットを表示するためには、PhaseコンテキストメニューからContinuous Phaseを選択してください。
- データマーカは、機能強化され移動が可能です。
- 現在のフィルタ情報フレームは、更新されています。Convert Structureボタンは削除されています。構造体を変換するには、右クリックコンテキストメニューあるいは編集メニューからConvert Structureを選択します。
FVToolの機能強化
- FVToolは、Activate FDAToolLinkツールバーボタンを使ってFDAToolと同期を取ることができます。FVToolがアクティブなときは、FDAToolのフィルタに対する変更は、FVToolに直ちに反映されます。
- ファイル->FDAToolLinkは、FDAToolLinkに対するモードを設定します。Replace current filterは、FVTool内のフィルタを削除し、それを新規のFDAToolフィルタと置き換えます。Add new filterは、FVTool内のカレントのフィルタにFDAToolフィルタを追加するので、複数のフィルタを表示して比較することができます。Set Link modeツールボタンを使ってモードを設定することも可能です。
- 編集および挿入メニューは、FVToolにカスタマイズされ、不適切なメニュー項目は削除されています。
- エディットプロットとズームオプションを含む新規のToolsメニューが追加されています。
- Filter Design Toolboxがインストールされている場合は、新規の解析法、Noise Loading MethodがAnalysisメニューに追加されています。詳細は、Filter Design Toolboxのドキュメントを参照してください。
- 右クリックによりアクセスするコンテキストメニューは、応答プロットとラベルの単位の設定、表示の変更、Analysis Parametersへのアクセスに対して含まれます。
- Analysis ParametersダイアログボックスのSave as Default をクリックすることにより優先するAnalysis Parameters を保存することができます。
- フィルタに名前を付け、AnalysisメニューのSampling Frequencyを使ってフィルタのサンプリング周波数を指定するか、あるいは、コンテキストメニューからSampling Frequencyを選択することによって、を指定することができます。複数のフィルタがある場合は、各フィルタに対して異なる名前をサンプリング周波数を指定することができます。
- ゼロ位相解析を実行するには、Magnitudeプロットのy 軸ラベルを右クリックしてコンテキストメニューを表示し、Zero-Phaseを選択するか、あるいは、Analysis Parametersダイアログボックス内でZero-Phaseを選択します。対応する位相プロットを表示するには、PhaseコンテキストメニューからContinuous Phaseを選択します。
デモ
Vector TransitionデモからWindow Visualization Tool (wvtool)
を起動し、選択したウィンドウを表示することができます。
新規のSpectral Estimationデモ(psddemo.m
)が追加されています。
新規のディジタルフィルタオブジェクトデモ(dfiltdemo.m
)が追加されています。
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