Real-Time Workshop User's Guide    

プログラムアーキテクチャ


はじめに

Real-Time Workshopは、2つのスタイルのコードを生成します。1つは、ラピッドプロトタイピング(とコード生成によるシミュレーション)に適したコードです。もう1つは、組み込みアプリケーションに適したコードです。この章では、プログラムアーキテクチャ、つまりこれらの2種類のコードに関連するReal-Time Workshop生成コードの構造を説明します。以下の表は、Real-Time Workshopに付属するターゲットを分類しています。

表 6-1: ターゲットによるコードスタイルの分類
ターゲット
コードのスタイル(特に記されていない場合はCを利用)
組み込みリアルタイム(ERT)ターゲット
Embedded -- 生成されたCコードを組み込みアプリケーションで利用するとき、出発点として有効です。
一般的リアルタイム(GRT)ターゲット
ラピッドプロトタイピング-- ワークステーション上での非リアルタイムシミュレーション。リアルタイムオペレーティングシステムのタスクを利用しないラピッドプロトタイピングリアルタイムターゲットの作成の出発点として有効です。ワークステーション上での生成コードの検証にも有効です。
リアルタイムmallocターゲット
ラピッドプロトタイピング-- このターゲットは、すべてのモデルの作業メモリを、前もってスタティックに宣言するのではなく、ダイナミックに割り当てることを除いて、一般的リアルタイム(GRT)ターゲットと非常に似ています。
ラピッドシミュレーションターゲット
ラピッドプロトタイピング-- ワークステーション上でのモデルの非リアルタイムシミュレーション。高速のあるいはバッチシミュレーションツールとして有効です。
S-ファンクションターゲット
ラピッドプロトタイピング-- 別のSimulinkモデル内でのモデルのシミュレーションに対してC-MEX S-ファンクションを作成します。
Tornado (VxWorks)リアルタイムターゲット
ラピッドプロトタイピング-- VxWorks リアルタイムオペレーティングシステムタスクを使ってリアルタイムでモデルを実行します。リアルタイムオペレーティングシステムをターゲットとする出発点としても有効です。
Real-Time Windows target
ラピッドプロトタイピング-- PCがバックグラウンドでMicrosoft Windowsを起動しているときに、割り込みレベルでリアルタイムにモデルを実行します。
Adaシミュレーションターゲット
Embedded -- Adaを使ったワークステーション上での非リアルタイムシミュレーション。ワークステーション上での生成コードの検証に有効です。
Adaマルチタスクリアルタイムターゲット
Embedded -- Adaタスクを使って、モデルをリアルタイムで実行します。生成したAdaコードを組み込みアプリケーションで利用する際の出発点として有効です。
xPC target
ラピッドプロトタイピング-- xPCカーネルを起動しているターゲットPC上でモデルをリアルタイムに実行します。
DOSリアルタイムターゲット
ラピッドプロトタイピング-- DOSで割り込みレベルでモデルをリアルタイムに実行します。

サードパーティベンダは、Real-Time Workshopに対するターゲットを提供しています。一般に、これらは、ラピッドプロトタイピングターゲットとして分類されます。サードパーティ製品に関する詳細は、MATLAB Connections Web page: http://www.mathworks.com/products/connectionsを参照してください。

SimStructデータ構造体を使う(すなわち、#include "simstruc.h")ことによって、生成コードのラピッドプロトタイピングスタイルを識別することができます。対照的に、組み込みコードスタイルは、SimStructをもちません。

この章は、3つの節に分かれています。最初の節では、モデルの実行を、2番目の節では、コードのラピッドプロトタイピングスタイルを、3番目の節では、コードの組み込みスタイルを説明します。


 Externalモードの制限  モデルの実行