設計ケーススタディ    

時変設計

Control System Toolboxは、時変Kalmanフィルタ処理を実行するための特定のコマンドは提供しませんが、MATLABでリカーシブフィルタを実行するのは容易です。この節では、上で検討した定常プラントに対して、これを実行する方法について説明します。

まず、ノイズの加わった観測量を生成します。

つぎの初期条件が与えられた場合、

つぎのforループをもつ時変フィルタを実行することができます。

ここで、真の出力と推定出力をグラフ上で比較することができます。

最初のプロットは、真の応答(破線)とフィルタを適用した応答(実線)を示しています。第2のプロットは、測定誤差(鎖線と点)と推定誤差(実線)を比較しています。

時変フィルタは、サンプルごとの推定誤差の共分散errcovも推定します。それをプロットして、フィルタが(定常入力ノイズで期待されるとおりに)定常状態に達したかどうかを確認します。

この共分散プロットから、出力共分散がおよそ5つのサンプルで実際に定常状態に達したことを確認できます。それ以降、時変フィルタは定常状態バージョンと同じ性能を維持します。

実験データから導いた推定誤差共分散と比較します。

MATLABは、つぎの出力を行います。

この値は、理論値errcovより小さく、定常状態設計に対して得られる値に近くなります。

最後に、最終値とイノベーションゲイン行列の定常状態値が、つぎのように一致することに注意してください。


 時変Kalmanフィルタ 参考文献